元勇者、ミラージュに頼む
早速俺はシュヴァルツに相談してみる事にした。
「歴史書ですか、一応学者が編成した物がありますが専門的な上に小難しいので一般的には余り受け入れていないのが現状です」
そう言って苦笑いするシュヴァルツ。
「魔族との争いの歴史とかを研究している奴とかいないかな?」
「いるにはいますけど……、彼らは地位や名声の為に研究していますからね。別に分かってもらおう、と思ってやっている訳ではありませんよ。それにプライドも高いですし」
そういえば、勇者をやっていた頃に『賢者を仲間に入れた方が良い』てアイナが言って交渉したけどいつのまにかその話、無くなってたんだよな。
その間、アイナの機嫌はめちゃくちゃ悪かったけど多分喧嘩したんだろうな。
「国の研究機関に所属している研究者達は特にひどいです。自分達の知識欲を満たす為に研究していて世の為人の為なんて関係ないですからね」
「世に出して初めて知識は役に立つはずなんじゃないか?」
「彼らはエリート意識がありますから最初から見下してくるんです。私も昔家庭教師についてもらった事があるんですが、何処か言葉に棘があって好きにはなりませんでしたね」
「でも、国の機関に所属しているんだったら成果を出さないとダメだろ?」
「何度か言ってるんですけどねぇ……」
言ってもダメか……。
「じゃあ民間はどうなんだ? 一人ぐらいはいるだろ、まともな奴は」
「う~ん……、心当たりはないですね」
「おいおい……」
八方ふさがりじゃないか……。
と、扉が開かれた。
「どうした? 二人そろって暗い顔をして」
「ミラージュか……、実は」
俺は歴史書の事を話した。
「それだったら、聖国でこの世界で起こった事を纏めているけど?」
「マジかっ!?」
「しかも、普通の人にもわかりやすい様に物語になっているけど」
「物語か、やっぱりそっちの方が広めやすいんだろうな」
「よかったら何冊か持ってくる事は出来るけど」
「頼むよ、これからの参考にしたい」
俺はミラージュに聖国の歴史書を持って来てもらうように頼んだ。




