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元勇者は静かに暮らしたい(Web版)  作者: こうじ
領主編
225/416

幕間 アリスの思い

 此処は魔族領にあるアリスの屋敷。


「人間領に移住したい魔族のリストは出来てる?」


「はい、此方にございます。」


 そう言って秘書がアリスに書類を渡してきた。


「うん、やっぱり若い人が多いわね。」


「えぇ、今の若い魔族はアリス様の考えに賛同している者が多いですから。」


「ここまで来るのに苦労したわね……。」


 アリスが新たな魔王になり、再び人間との戦争を望む声もあった。


 しかし、アリスは大きな方向転換をした。


 戦争では無く共存の道を選んだのだ。


 不満の声も出たが、アリスは『まずは現在の魔族領の立て直しが優先』と突っぱねた。


 実際、長年の人間族との戦争で魔族領は深刻な被害を受けていた。


 このまま人間族と戦っていても魔族には何にも得が無い。


 そこでアリスは人間との共存を選択したのだ。


 この事をアリスは根気よく説明した。


 絶対権力を持つ魔王なので別に説得する必要はないのだが、アリスはあえて説明をした。


「おかげで徐々に理解をしてくれる者も出て来たし……。」


「しかし、何故アリス様はあえて困難な道を選んだのですか?」


「私ね、暴力で人は支配できない、と思うのよ。話し合う事が一番大事で、それが出来なくなってから初めて実力行使に出ても良いと思うの。」


「やはり、ご家族の事が……。」


「そうね、お兄様達には『出来損ない』と言われて暴力を受けて……、でもお兄様達が亡くなって私が魔王になるんだから皮肉な物よね。一番魔王に相応しくない私が魔王になってしまうんだから。」


 そう言ってアリスは苦笑いをする。


「そんな事は無い、と思います。アリス様が新しい魔王像を作ればいいのです。『心の優しい魔王』を。」


 秘書がそう言うとアリスは顔が真っ赤になった。




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