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元勇者、考える
「村長、領内で野獣の被害が増えているそうです。」
リリアから報告を受けた。
「ここら辺は見かけないが新しくうちに編入した領地の方には出没しているらしいな。ギルドに要請するか。」
領地が広くなってから色々陳情とか要請とか増えて俺の日々は忙しくなっている。
正直休む暇もないぐらいだ。
書類との格闘や近隣の領主との面談やら会議やら……。
目が回るとは正にこの事だ。
「うぅ……、疲れる。」
「あまり無茶するなよ、ほらコーヒーだ。」
「ありがとうな、サラ。」
俺はサラからコーヒーを受け取り飲む。
「しかし、本当に変わって来たな、この村も。最初は私とノエルだけだったのにな。」
「そうだなぁ、最初はひっそりと一人暮らしをしよう、と思ったんだけどな。」
かなり、計画が変わったのは事実だ。
「まぁ、こういう忙しさも悪くは無いんだけどな、やっぱり頼られるのは嬉しいからな。」
「だからと言って体を壊しては意味が無いぞ。ノエルはこの村いやこの世界にいなくてはいけない人物だからな。」
まぁ、勇者になった時点で覚悟はしていたけどな。




