元勇者、鎧の真実をする
「旅立つ時、そんな話されなかったぞっ!? 大体誰がそんな物騒な呪いをかけたんだっ!?」
『それは私です。』
いきなり聖剣から声が聞こえた。
『漸く会えましたね。まぁ、あの状況では全てを捨てたい気持ちもわかります。』
「その声は・・・・・・、女神か?」
『私以外、誰がいるというんですか?』
旅の途中で俺が迷った時とか支えてくれたし励ましてくれた。
「それで、なんで鎧に物騒な呪いなんかかけたんだ?」
『対峙したからわかると思いますが魔王の魔力は膨大です。いくら勇者の資格がある、としても所詮は人間ですから限界があります。その為には勇者の力をサポートしなければなりません。それが聖剣と鎧です。』
確かに聖剣と鎧には助けられた。
『ですが、それでも魔王を倒せる保証はありません。魔王だって力を蓄えていますから。魔王に打ち勝つ為には魔王以上の力が必要です。その試練として私は鎧に呪いをかけたのです。貴方は見事にその試練を乗り越えて魔王を倒しました。』
「ノエル殿、体に異常はありませんか?」
「いや、逆に全然軽いし絶好調なんだが。ていうか万が一呪いに勝てなかったらどうなってたんだ?」
『体は朽ち果て精神は不安定になり狂戦士になっていたかもしれませんね。』
「しれないって・・・・・・。」
我ながらちょっと怖くなったよ。ていうか、それ、凄い大事な事だろ? なんで教えてくれなかったんだ、城の奴等は。
「城の中に知ってる奴はいたのか?」
『神官や王には伝えました。ですが聞き流していたみたいですね。』
神の言葉を聞き流すなよ・・・・・・。
何か言葉尻から怒気を感じるぞ。




