アンジェが村にやって来た
それから数日後、荷物を持ってアンジェがやって来た。
「貴族のお嬢様にこんな田舎は似合わないと思うけどよろしく頼むな。」
「こちらこそよろしくお願いします。でも、私の生まれ育った場所も似たような所なので懐かしいです。」
「そうなのか、じゃあすぐに馴染むだろう。」
当然だがシュバルツと一緒の家に住む事になる。
まぁ、シュバルツのぎこちない事。
明らかに女性の扱いには慣れていないみたいだ。
「シュウは真面目すぎるからね、女性の免疫が無いんだよ。」
そう言ってローニーが苦笑いしている。
ローニーは暫くわが村に滞在する事になった。
兄弟そろって過ごすのは暫くぶりらしい。
「シュウてシュバルツの事か?」
「そう、リリアはリリーって愛称をつけて呼んでるんだ。」
流石は兄弟だよな。
「まぁ、うちの長兄が大失敗しているから、余計に慎重になっちゃうんだよ。」
「あぁ、その話も聞いたが、かなりの修羅場だったみたいだな。」
「修羅場っていうかアンジェの独壇場って言うか……、女性を敵に回すのがどれだけ怖い事かわかったよ。」
「長兄も馬鹿なんですよ。王太子だから、て調子にのっちゃって……。」
リリアが当時を思い出したみたいで呆れた感じで言う。