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元勇者は静かに暮らしたい(Web版)  作者: こうじ
領主編
218/416

シュバルツの外堀は埋められていく。

「う、うちの村にですか?」


 俺は恐る恐る聞いてみる。


「うむ、自然豊かで魅力的だからな。」


「私も一目で気に入ったわ。あそこをずっと放置していた旧レバニア王族の気がしれないわ。」


 国王も王妃様もノリノリだ。


「あの、お言葉ですが母上はともかく父上は大丈夫なんでしょうか? 父上がああいう田舎で暮らしていけるとは思えないんですが。」


 シュバルツの不安も確かだ。


「何を言っておるか、若い頃は騎士団に所属して色んな所に出向いた物だ。」


 そう言って豪快に笑う国王


「それと、シュバルツ、国王就任と同時にアンジェ嬢と正式に結婚をしてもらうぞ。」


「マジですかっ!?」


 遂に年貢の納め時、ていう奴だな。


「えぇ、この話はアンジェにも既に通達済みよ。それでアンジェにはシュバルツと一緒に生活してもらうわ。」


「はいぃっ!?」


「急速にお兄様の外堀が埋められていきますね……。」


「そうだなぁ……。」


「それと、さっきの『私はともかく』という部分に関して色々聞きたい事があるんだけど?」


 王妃様の黒い笑顔にシュバルツは『しまった!』という顔をしていたが後の祭りだった。


 綺麗にドナドナされていきましたよ、えぇ。



「……て言う事になった。」


「国王様と王妃様が移住、ですか。また騒ぎが大きくなりそうですね。」


 村に帰って来た俺はみんなに報告をした。


「そうだなぁ、まぁ来る者拒まずがこの村のモットーだからな。その時が来たらみんなもまた協力してくれ。」


 そう言って頭を下げた。


 因みにシュバルツは疲れた顔で戻って来た。

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