シュバルツの外堀は埋められていく。
「う、うちの村にですか?」
俺は恐る恐る聞いてみる。
「うむ、自然豊かで魅力的だからな。」
「私も一目で気に入ったわ。あそこをずっと放置していた旧レバニア王族の気がしれないわ。」
国王も王妃様もノリノリだ。
「あの、お言葉ですが母上はともかく父上は大丈夫なんでしょうか? 父上がああいう田舎で暮らしていけるとは思えないんですが。」
シュバルツの不安も確かだ。
「何を言っておるか、若い頃は騎士団に所属して色んな所に出向いた物だ。」
そう言って豪快に笑う国王
「それと、シュバルツ、国王就任と同時にアンジェ嬢と正式に結婚をしてもらうぞ。」
「マジですかっ!?」
遂に年貢の納め時、ていう奴だな。
「えぇ、この話はアンジェにも既に通達済みよ。それでアンジェにはシュバルツと一緒に生活してもらうわ。」
「はいぃっ!?」
「急速にお兄様の外堀が埋められていきますね……。」
「そうだなぁ……。」
「それと、さっきの『私はともかく』という部分に関して色々聞きたい事があるんだけど?」
王妃様の黒い笑顔にシュバルツは『しまった!』という顔をしていたが後の祭りだった。
綺麗にドナドナされていきましたよ、えぇ。
「……て言う事になった。」
「国王様と王妃様が移住、ですか。また騒ぎが大きくなりそうですね。」
村に帰って来た俺はみんなに報告をした。
「そうだなぁ、まぁ来る者拒まずがこの村のモットーだからな。その時が来たらみんなもまた協力してくれ。」
そう言って頭を下げた。
因みにシュバルツは疲れた顔で戻って来た。




