元勇者、シュヴィア家の家族会議に立ち会う
そんな騒ぎがあった翌日、シュヴィア城に呼び出された。
「久しぶりだな、ローニー。元気そうで何よりだ。」
「お久しぶりです、父上母上。妻たちも明日には来ますので。」
大広間には王族の面々が勢ぞろいしていた。
なんで、俺がこんな所にいるのだろうか……、ていうかいてもいいのだろうか?
「手紙ではやり取りしていたけど……、一家の主になるなんて意外だったわね、幸せそうで何よりだけど。」
「わかりますか、母上。」
「そりゃあ、わかるわよ。顔に書いてあるわよ。」
そう言ってニコニコしている王妃様、それと対象的にシュバルツとリリアは不満げである。
「……母上も父上もひどいですよ。どうして連絡していた事を教えてくれなかったんですか?」
「いやぁ、ローニーはすでに籍を抜けている訳だし貴方達に教える義務はない、と思ったから。」
「それでも生きているかどうかぐらいは教えてくれてもいいじゃないですか……。」
「教えようにしてもなかなか時間が出来なかったんだよ。そう言う話題も出にくかったからなぁ。」
まぁ、タイミングが合わなかった、て言う事か。
「さて、今回集まってもらったのは他でもない、これからの事についてだ。」
この一言で空気が変わった、一気に緊張感が漂う。
「以前、長男が王太子をしていたが知っている通り残念な結果になってしまい、それまで王太子を置いていなかった。しかし、流石にそろそろ王太子を決めなければならない時期にある。」
そういえば、王太子の話は聞いた事が無かったな。
「それで、王太子だが……、シュバルツ、お前にやってもらう。」
「わ、私ですか?」
「えぇ、ていうか直属で血を引いているのは貴方だけなんだから。」
「まぁ、わかっていましたが……。」
「近日中に公に発表する。そして儂達は一年後に退位する事にする。」
「退位する、ってその後どうするんですか?」
「儂達は隠居しようと思う。その隠居先はノエル殿の村にしようと思っている。」
「……はい?」




