元勇者、訪問を受ける
「まずはガーザスに連絡しないといけないな。」
「直接、両親に会った方が話が早いんじゃないか?」
「相手は軍の幹部だぞ? 俺みたいな身元がわからない様な奴が会えると思うか? 下手したら誘拐犯に間違えられる。」
余計なトラブルは出来るだけ避けたいからな。
そんな時だ。
ドアをノックする音が聞こえた。
ガーザスだったらタイミングが良いんだが。
「どちら様ですか?」
ガチャと扉を開けると気品の良い青年が立っていた。
「この村にノエルという人物がいるはずなんだが?」
「ノエルは俺だけど。」
と言うと、いきなり青年は跪いた。
「勇者ノエル・ビーガー殿、私はシュヴィア国の第一王子のシュバルツ・シュヴィアと言う。ノエル殿に会う為にやって来た。」
はあああぁぁぁぁっっっっ!?!?
シュヴィア国ってレバニアのライバル関係の国じゃないかっ!?
その国の王子が俺を探しに?
とりあえず玄関先ではなんだから中に入ってもらう。
サーニャはどうやら寝ているみたいだ。
「それで、どうして俺の事がわかったんだ? 公式にはカイン王子が勇者と発表されているはずだが?」
「我々の方にも伝わったが、疑問に思い独自に調査を行い、ノエル殿がレバニア国、そして仲間に裏切りを受けた事がわかったのだ。」
「でも、あの現場には証人はいないはず・・・・・・、って、あぁっ!」
俺はある事を思い出した。
「ノエル殿に返さなければならない物がある。」
そう言ってシュバルツ様が大事そうに布にくるまれた物を机に置き、布を外した。
間違いなく、これは聖剣だ。
「って事は魔王城まで行ってきたのかっ!?」
「えぇ、ノエル殿の鎧はこちらで保管しております。」
「何かすいません・・・・・・。」
「いえ、謝らなければならないのはこちらの方です。我々はノエル殿の背負った宿命を甘く考えていた。」
宿命?
「勇者の鎧を魔導士に鑑定させた結果、あの鎧には呪いがかけられていたのです。持ち主の生命力、魔力を吸収する呪いが・・・・・・。」
「・・・・・・え?」
ごめん、その話初耳なんだけど?




