聖王、王女達に真実を伝える
その後も愚痴を聞きつつお菓子作りは進んでいった。
「後は焼くだけですね。暫しお時間を。」
そう言ってリリアはクッキーをオーブンに入れた。
「……楽しみ。」
「こういう事ってなかなか出来ませんでしたから、結構楽しみでしたわね。」
「両親に持って帰れば喜ばれるかもしれないぞ。」
「そうでしょうか?」
「あぁ、娘の初めての手作りなんだ。喜ばない親はいないぞ。」
「そうだねぇ、特にケンビアとコバルトの国王は親バカだから過剰に反応するかもしれないわよ。」
「あっ! 聖王様っ!!」
リリアがミラージュに気づいて慌ててお辞儀をした。
それにつられてメイア達もお辞儀をした。
「別にかしこまらなくていいわよ。こんな見た目小さな子にお辞儀するのも変でしょ? 今はプライベートで来てるんだから。」
「で、でもそうも行きませんし……。聖王様には我が母国に関して大変お世話になっておりますので。」
「でも、結果的には別れちゃってるからね。そもそもなんでコバルトとケンビアが仲が悪くなったか知ってる?」
「それはスカウド初代王がレイス王との大ゲンカの上、反乱を起こしたと聞いてますが。」
「うん、表向きはね。そろそろね、和解しても良いと思うのよ。まぁ、それを判断するのは貴女達だけど、私が知ってる事実を教えようと思うの。」
「事実? その反乱を起こしたのが事実ではないんですか?」
「原因が違うのよ。原因は跡目相続って言われてるけど本当は違う。貴女達があまり恋愛に関して上手くいってないのも少し関係があるのよ。」
「どういう事ですか?」
「レイスとスカウドが大ゲンカした原因、ズバリ『女関係』よ。ぶっちゃけると二股かけられてたのよ。」
『……はい?』
メイアとアミアは二人してポカンとしていた。