王女達のお菓子作り
「さぁ、それでは始めましょうか♪ レシピを用意しましたからレシピ通りにやれば美味しくできますから。」
あれから数分後、エプロンを着た王女達が簡易キッチンの前にいる。
「なんでリリアの奴、あんなに清々しい笑顔をしてるんだ?」
俺はシュバルツに聞いた。
「学生時代にアミアとラミアに散々弄られたのを根に持ってるんですよ。学生時代からリリアはあまり王族らしくはありませんでしたから。」
そんな訳でお菓子作りがスタートしたがやっぱりてんやわんやでした。
普段、料理をしていないんだろう、と言うのが見え見えだった。
「なんで、纏まらないの!?」
「分量間違えてますよ、ちゃんとレシピ通りに入れましたか?」
「た、卵が上手く割れない……っ!」
「力の入れすぎです。」
アミア達にとっては初めての体験だったのだろう、そこには王女の仮面を外した等身大の少女たちの姿があった。
まぁ、これが狙いなんだけどな。
そんな中、意外とミネルバがマイペースで上手く作っているのが意外だった。
「……コネコネするの面白い。」
クッキーの生地を練っているのに夢中みたいだ。
「おやおや、なかなか賑やかな事をやってるわね。」
「ミラージュじゃないか、久しぶりだな。」
「各国の王女様が一緒に料理をしているなんてなかなか見れない光景だからね、それに仲の悪いケンビアとコバルトの王女が喧嘩もせずに一緒にいるなんてレアな光景よ。」
「知ってるのか、あの二国の因縁を。」
「そりゃあ勿論知ってるわよ、そのきっかけになった時に私もいたんだから。」
「まじかっ!?」
「本当よ、……まぁ、そろそろ本当の事を教えないといけないわね。凄く下らない真相になるんだけど。」
……なんか意味深だなぁ。




