リリア、吹っ切れる
お茶会まで半月、準備も何も始まっていない。
しいて言えばリリアの料理の腕がだいぶ上がってきた。
「こりゃ美味しいな。お店に出しても大丈夫だぞ。」
「本当ですかっ!? ありがとうございますっ!!」
リリアが作ってきたクッキーを頬張りながら言うとリリアは嬉しそうな顔をする。
ここ最近になって肩の力が抜けてきた、というか年相応の少女の表情をするようになった。
良い感じで村に馴染んできたなぁ、と思う。
「ところでお茶会の準備は捗っているのか?」
「それが・・・・・・、自分でお菓子とか作る様になってからお店の物を食べると何か物足りなさを感じる様になったんです。だから悩んでます・・・・・・。」
料理をする様になってどうやら味覚が研ぎ澄まされたらしい。
「いっその事、リリアが作ったクッキーやケーキを出してみたらどうだ?」
「わ、私が作った!?」
「そう、お茶会だからと言って気取る必要は無いんじゃないか? 相手は同年代の女の子だ。どうせ生半可なおもてなしじゃあ満足しないだろうし、あえて経験してない事をやってみれば良いんじゃないか?」
「経験してない事・・・・・・、何か見えてきた様な気がします。」
そして、リリアは招待状を各国へ出した。
『シュヴィア国主催のお茶会について。
今回のお茶会はちょっと変わった催しを考えております。なので動きやすい格好で来ていただければありがたい、と思っております。皆様の快い返事をお待ちしております。リリア・シュヴィア』
数日後には返事が来て全員参加となった。
「リリア、どうするつもりだ? ハードルはかなり上がっているぞ。」
「色々考えてみた結果なんですが、やはり真っ向勝負で行こうか、と思います。」
「真っ向勝負?」
「はい、私なりのおもてなしをするつもりです。」
そう言ってリリアは笑った。




