元勇者、ケンビアとコバルトの『因縁』を知る
「そもそもコバルトとケンビアが分かれた理由て何だ?」
「私も詳しくは知りませんが跡目相続だった、と聞いています。」
「理由はなんにしてもこのままだと良くは無いよな。」
「私、貧乏くじを引かされたような気分なんですが気のせいでしょうか?」
リリアが凄くどよ~んとした空気を醸し出している様な気がする。
「それでもあくまで都合が悪ければその二人が参加する事は無いんじゃないか?」
「いや、あの二人は参加しますよ。私を弄るのが大好きな二人ですから……。」
「学院時代は良く弄られてましたよね?」
「嫌な事思い出させないでくださいよ……。あぁ~、本当に憂鬱だぁ……。」
準備の時点で問題山積みとはなぁ……。
「……て言う話があったんだがシュバルツは何か知ってるか?」
「コバルトとケンビアですか? 父上から聞いた話だと何百年前に起きた『跡目相続』が原因らしいですよ。」
「跡目相続?」
「えぇ……、あそこは元々『デファルト』という国で『レイス』と『スカウド』という二人の王子がいたんですが、当時の王が次期国王に兄のレイス王子を任命したんです。」
「長男が跡継ぎになるのは別に問題は無いんじゃないか?」
「ところが、この兄弟はあまり仲が良くなかったんです。どちらかと言うと弟のスカウドの方が優秀でレイスはそれをコンプレックスに思っていたようで王に就任すると同時にスカウドを追い出してしまったんです。」
「そりゃあ確かに遺恨が残るなぁ。」
「それに怒ったスカウド派の貴族がデファルトを出ていってしまって新たにケンビア国を作りデファルトに戦争を起こし、領地の半分を奪い、事実上デファルト国は崩壊、新たにコバルト国が建国されたんです。ですから、あの二つの国は未だに遺恨が残っていて火種がくすぶっている状態なんです。」
なるほどなぁ……。
「我々も何度か和平の交渉をしたんですが歩み寄りが全くなく現在に至る状態なんです。」
「時間が長くなると新たな問題も勃発して複雑になっていきますからねぇ……。」
ミレットも苦笑いをしている。
「しかし、ずっといがみあっていたままじゃダメだろ? 何らかのきっかけが必要だと思うんだが……。




