リリア、外堀が埋められる
「うぅ・・・・・・、また焦がしてしまいました。」
リリアがクワイアの元でお菓子作りを初めて1週間が経過した。
まぁ、そんなに早く上達出来る訳も無く今日も焦がしたクッキーを目の前に凹んでいた。
「それでも、焦がした面が少なくはなっているから成長はしてると思うぞ。」
「本当ですかっ!?」
リリアは目をキラキラさせて俺の顔を見た。
ここ数ヵ月でリリアの人間性がわかってきた。
嘘はつけない真面目で感情がわかりやすい。
一言で言えば『単純』だ。
それは王家としてどうなのか、と思うがあの王妃様だからと何か納得してしまう。
そこへキャミーが手紙を持ってやって来た。
因みにリリアとキャミーは面識はあるが仲が良い、という訳ではない。と言っても悪い訳でもない。
「リリア様、シュヴィア国からこんな招待状が届いたんですが。」
「招待状?」
リリアは首を傾げてキャミーから招待状を見せてもらった。
「なっ!?」
手紙を見たリリアは一瞬声をあげて固まった。
「何の招待状なんだ?」
「1か月後にリリア様主催でお茶会を行うんですよ。他国の王女を招くみたいで、ただ場所が書かれて無いんですよ。」
「なんでキャミーの元にまで?」
「さぁ? でも私もお茶会は余り参加した事無いんですよ。殆どお姉様が参加していたので。」
「え? 姉がいるのか?」
「はい、今は他国に嫁いでいますが。『リンダ・カーネバース』と言います。 あっ、お父様よりじゃありませんよ。どちらかと言うと良くお兄様を締めていました。」
締めた?
後でシュバルツから聞いたら『レバニアの暴れ馬』として有名だったらしい。
それは他国に嫁いでからも同じだったらしくカーネバース国は彼女の采配で結構大きくなったらしい。
因みにリリアは一旦王都に戻り王妃様と口喧嘩したらしい。
戻って来た時はボロボロだったのはあえて聞かない。




