元勇者、リリアに提案する
「それで・・・・・・、どうするんだ、お茶会。」
「うぅ・・・・・・、王都で何が流行っているのか全く知らないし・・・・・・、どうすれば良いんでしょうか?」
涙目でこちらを見つめるリリア。
「俺に聞かれてもなぁ・・・・・・、貴族の世界なんてわからないし・・・・・・。そもそも場所は決まっているのか?」
リリアはフルフルと横に頭を振った。
「それだったら・・・・・・、いっその事、この村でやれば良いんじゃないか?」
「・・・・・・はい?」
リリアをキョトンとしている。
「だから、この村でお茶会をやるんだよ。」
「こ、この村でですかっ!?」
「そうだ。この村のアピールにもなるし。」
「でも、お茶会に出すお菓子とかはどうするんですかっ!? 場所とかもありませんよっ!!」
「場所だったら旧村長宅や教会とかがあるだろ。それにお菓子だったら作れば良いじゃないか。」
「つ、作るって・・・・・・?」
「勿論、リリアが作るんだよ。家事とかやってるだろ? いくら貴族のお茶会だからと言って高いお菓子とかお茶を出しても意味は無いと思うんだよ。いっその事、手作りでやってみた方が良いと思うんだ。」
「で、でも私は料理は余り得意では無くて・・・・・・。そもそも、この村に来るまでキッチンに立った事が無いんです。」
「だからこその良いきっかけだと思うぞ。別に着飾った服を着て優雅に振る舞うだけが貴族じゃないだろ?」
リリアは腕を組んで考え込んでしまった。
その翌日からクワイアの元でクッキー作りに励むリリアの姿があった。




