元勇者、令嬢を保護する
「昨日は凄い雨だったな。」
ふわぁ、と欠伸をしながら外に出た。
朝の日課として村の散歩をするのが通例になっている。
特に変化は無いんだけどな。
だが、一軒だけ人の気配を感じた。
そこはステラの家だった。
正直、今となってはほろ苦い思い出しかない家だが中に入ってみた。
「・・・・・・え?。」
思わず、言葉を失った。
一人の少女が床に倒れていたからだ。
「おいっ! 大丈夫かっ!?」
「うぅん・・・・・・。」
服も体もずぶ濡れだし、風邪を引いてる可能性があるので彼女を担ぎ家に戻った。
すぐにサラを呼び彼女の対応を任せた。
・・・・・・流石に服を脱がせる度胸なんて無い。
彼女はベッドに寝かせた。
「浮浪者という感じには見えないな。」
「服も寝間着だから、貧乏そうな感じには見えないしな。王都の方から来たんだろうな。」
だが、寝間着姿でこの村まで来るなんて言うのは尋常ではない。
訳ありだ、というのは感じた。
「う、うぅ・・・・・・。こ、此処は・・・・・・?」
「気づいたか? 此処はハノイ村ていう場所だ。」
「ハノイ村・・・・・・、貴殿方は?」
「この村の住人のノエルっていうんだ。」
「私はサラだ。貴女は空き家に倒れていたんだ。」
「そうでしたか・・・・・・、私はサーニャと言います。ご迷惑をかけて申し訳ありません・・・・・・。」
言葉遣いから見て、やはり良いとこのお嬢様みたいだ。