元勇者、事後報告をする
数日後、再びメドウィン領を訪れた。
「……という訳でリデラック家は没落した。もう被害は出ないと思うから安心してくれ。」
「良かったですね、マリー。少しは胸のつかえも取れたんじゃないですか?」
「ありがとうございます……、こんな私の為に……っ!」
マリーは涙ぐんでいた。
「貴女の為だけじゃないわ。あんなクズ貴族を放っておいた王族として責任を取ったつもり。リデラック家の財産は被害に遭った人達に払われる事になるわ。そうすれば、マリーナも貴族籍を取り戻せることができるんだけど……。」
「いえ、私は今のままで結構です。正直貴族時代は色々見栄も張っていて私自身を偽っていましたから……。」
そう言ってマリーはニッコリと笑う。
何か吹っ切れたような笑顔だった。
次の日、王妃様に呼び出された。
「リデラック家の件は聞きました。本来なら私達が対処しなきゃいけないのに……、感謝いたします。」
深々と頭を下げる王妃様。
「いやいや、たまたま乗りかかった船だから。」
「これで悪徳貴族に対処する方法が出来て容赦なく対応できるわ。」
「でも、それは魔族に迷惑かけないか?」
「ううん、私達は大歓迎よ。ていうか、今後も協力関係を結ぶ話を今していた所なの。」
だから、アリスもいたのか。
「それはそうと、リリア。貴女、男装してパーティーに参加したそうね。」
リリアがビクッとなる。
王妃様はため息を吐きながら……、
「いい加減、王女としてのプライドを持ちなさい。貴女だって外交に出たらこの国の王女として振る舞わないといけないんだから。」
「は、はい……。」
「そうね……、今度お茶会でも行おうかしら。リリア主催の。」
「えぇっ!?」
リリアは顔面蒼白になる。
「お茶会って、お菓子とか食べながら喋るだけだろ?」
「男性から見ればそうだけど、主催となると話は違うわ。お茶やお菓子等を手配しなければならないから、その貴族令嬢の力が試されるのよ。」
「はぁ、そうなのかぁ……、貴族も大変だなぁ。」
因みにリリアはガタガタ震えていた。