クズ貴族の末路
それから数日後、王家主催の社交パーティーが催された。
王家主催と言う事でほとんどの貴族が参加した。
その中にはもちろん、ターゲットのマセランの姿もあった。
確かに女にモテそうなキザな男だ。
ちょっと耳をすましてみれば取り巻きらしい男達と『あそこの令嬢は良かった』、とか『今度は○○家の令嬢を狙っている。』とかいう話をしている。
うん、こいつはまぎれもないクズ貴族だ。
これ以上被害者を出してはいけない。
そんな中、注目を浴びているのはメイだ。
赤いドレスに綺麗にメイクされた顔、どっからみても貴族令嬢にしか見えない。
まぁ、実際貴族なんだけどな、魔族だけども。
しかし、当然だがあまり見た事が無いだろうから男性はチラチラと見ている。
「やっぱり注目されてるな。」
「そうですね、……正直悔しい感じもします。」
「そう思うんだったらなんで男装してるんだ?」
遠巻きでリリアと一緒に見ているんだが何故かリリアは男装している。
「私は、ドレスとか苦手でして……。」
「……慣れような?」
「はい……、あっ、マセランがメイに近づきましたよ!」
「おっ、ついに近づいたか!」
何やらマセランはメイに話しかけている。
取り巻きの男達も一緒だ。
メイも笑っているが目は獲物を見定めしている様な目をしている。
後でメイから聞いたらまぁ、歯が浮くようなきざなセリフを投げかけていたらしい。
『君と会うのは運命かもしれないね。』とか『君と会うために生まれてきた。』とか……。
「あまりにもベタでしたから笑いをこらえるのに必死でした。」とはメイの弁だ。
そして、メイは親指を立てた。
どうやら無事に成功したみたいだ。
そこからリデラック家が堕ちていくのには時間はかからなかった。
すっかりメイの虜になったマセランはメイに貢いだ。
あっという間にリデラック家の財産は空っぽになってしまった。
そして、借金まみれになってしまった。
そこでメイが本性をあらわにした。
完全にメイの虜になっていたマセランは抵抗する事は出来ない。
加えてマセランの両親もメイ、メイの知り合いのインキュバスに喰われていた。
リデラック家はメイの奴隷に堕ちてしまったのだ。
取り巻きの男達も一緒に堕ちてしまったのはもらい事故としか言いようがないが……。
自業自得と言うのはこういう事を言うんだろうな。




