元勇者、国の変革を思う
村に帰ってきて早速クワイアはヤマブキソウの調理を始めた。
と言っても天ぷらにしただけなのだが、これがまた美味い。
確かにそこら辺の山菜よりも比べ物にならないぐらい美味かった。
そして、食堂開店の日、期間限定で『ヤマブキソウ定食』を出したんだがコレが冒険者達に大好評。
何せ王族や貴族も食べた事が無い幻の山菜がリーズナブルな値段で食べれる物だから、行列が絶えなかった。
「やっぱり好評だったなぁ、これから冒険者が目指していくんだろうなぁ。」
「ただ、あの『毒の壁』がありますからね。相当難易度の高いクエストになりますよ。」
まぁ、無駄に採るよりたまにこうして食べれるのが希少価値を生む訳だから、無理に採る事は出来ないだろうな、生態系にも影響があるだろうし。
無駄に自然をつぶして開発する理由もないしな。
「あ、次の建設の件ですが国から許可が出ました。」
「そうか、国の建設審査が結構厳しくなってる中、よく許可が出たな。」
「そりゃあ、アムールさんのデザインはシンプルですから許可は出やすいですよ。比べて今までの常識でやっている建築士や貴族はなかなか建設許可が出なくて大変みたいですよ。」
以前のアムールの件以来、シュヴィア国の建設業界は大きな転換を求められた。
豪華主義から一転して、機能性を求められるようになり貴族ご用達の建築士達は大いに困窮する事になった。
建築許可の審査も厳格化する事になった。
機能性や外観が周りと違和感があるか、とか細かいところまでチェックされる様になりなかなか厳しくなった。
まぁ、その分、金が領地の方に回り豊かになっているらしい。
ただ、そこまで回らなくて苦しんでいる貴族もいるらしい。
上手く変革の波に乗らないと溺れてしまう。




