元勇者、クワイアの傷を知る
明けましておめでとうございます。まぁ、元旦から仕事だったので正月気分なんてありません。今年もよろしくお願いいたします。
「穏やかだなぁ・・・・・・。」
水辺でランチを食べながら俺はボソリと呟いた。
「魔王討伐の時は使命感もあったから殺伐していたわね。・・・・・・原因は私達だったんだけど。旧レバニア王から『仲良くするな』て言われていたから。」
「本当に旧レバニア王族は馬鹿ですよね。神託を受けた勇者を裏切ったらどうなるのか、わからない訳ではないはずなのに。」
それに乗ったステラ達も馬鹿というか浮かれていたんだよなぁ・・・・・・。
「そういえばノエル様は結婚とかはまだ考えてないんですか?」
「結婚かぁ・・・・・・、まぁしたいけど今はまだ興味は無いな。領地の運営で忙しいからな。クワイアはどうなんだ?」
「いやぁ、私もありませんよ。王都にいた頃は恋人がいたんですけど、スランプに陥った時に別れを切り出されまして・・・・・・。」
「何それっ!? 恋人が苦しんでいたら助けるのが普通でしょっ!?」
「結局、『宮廷料理人』という地位しか見ていなかったんですよ。私個人を見てくれなかったんです。貴族というのはそう言う物だと思えば楽なんですけどね。」
クワイアも心に傷を持っていたのか・・・・・・。
リリアが怒っていたのは自分と重ねたんだと思う。




