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元勇者、ひと時の休憩を楽しむ
毒ガスの壁を乗り越えて見えたのは人の手が入っていない草が生い茂った森だった。
ここから先は俺も足を踏み入れた事が無いから何があるかわからない。
「ここからは慎重に行くぞ。」
全員が頷く。
「それだったら周囲をちょっと見てみましょう。」
そう言ってアイナは目を瞑る。
「 多分『探索魔法』を使っているんだろう。」
「……ここから少し行った所に水辺があるわ。」
アイナがある方向を指さした。
「凄いですね……、足を踏み入れた事も無いのにわかるなんて。」
まぁ、普通の人間は魔力が無いから魔法が使えないからな。
アイナの案内で俺達は進んでいく。
そして、水辺についた。
「おぉ~、綺麗な水辺だ。」
水が透き通っている。
正に自然の恵みだ。
「ちょっと休憩しましょうか。弁当を持ってきましたので。」
ここまで休まずに来たからな。
クワイアが背負っていたリュックから包みを取り出した。
中に入っていたのはサンドイッチとサラダだ。
「流石は美味いな。」
こういうクエストをやっていると楽しみなのは食事ぐらいしかないのでやはり美味い物を食べたい。




