元勇者、食材探しに行く
リリアの過去の話を聞いてから数日が経過、まぁ過去を聞いたからって別に態度が変わる訳じゃない。
……俺も似たようなもんだし、人には何処か必ず『傷』がある訳だから、無理に触れても広がるだけだからしょうがない。
それに、国同士の話に首をつっこむ必要もない。
頼られたら、助言くらいはするけど。
さて、リリアが来た事で現在ハノイ村は建設ラッシュだ。
冒険者が増えた事で宿屋、食堂、道具屋、武器屋等が必要になって来た。
古くなった建物は壊され新たな建物が建てられる。
村は確実に姿を変えていった。
勿論、ただ変わっていく訳でなく使える物は残していく。
全てを変えるのは流石に味気ない、て言うか俺が嫌だ。
そこはリリアと相談して何を残すかを決めていった。
そんな訳で食堂がオープンした。
勿論、店主は元王宮料理人のクワイアだ。
「自分の店が持てるなんて夢みたいです……。」
店舗の前でジーンと感激しているクワイア。
「でも、一人でこれから大変だろ? 出来る限りはサポートするから何でも言ってくれ。」
「ギルドに依頼してくれれば食材とかゲットしてやるから。」
「ありがとうございます。それじゃあ早速ですが実は依頼をしたいと思っているんですが。」
「おぅ、どんな依頼だ?」
「実は、この辺の環境を調査してわかったんですが『ある食材』が存在している可能性が高い事がわかったんです。」
ある食材?
「それは『ヤマブキソウ』と言う自然豊かな所でないと育たない『幻の山菜』なんです。そのまま食べても美味しいし揚げたり茹でたりするとまた違う食感が味わえるという代物なんです。」
そんな物があるとは知らなかったな。
「確かにありそうだよな。」
「それでめぼしい所があるんですが流石にそこに行くには冒険者の力が無いと……。」
と言う事で食材探しをする事になった。
メンバーは俺、リリア、アイナ、案内人としてクワイアが同行する事になった。