シュヴィア王族は恋愛運が無いらしい
「まさか、身内でする側、される側が出るとは思いませんでしたよ……。うちの家系は恋愛に関して運が無いみたいです……。」
そう言って乾いた笑いをするシュバルツ。
「でも、リリアには罪が無いだろ? 家事とかは出来ないにしても。」
「流石に詳しい話は本人の前では……。ちょっと、こっちで。」
そう言ってシュバルツの家に移動した。
「シュバルツもだいぶ一人暮らしが板についてきたな。」
「意外と慣れてくると楽しいですね。」
「それで、リリアの婚約破棄って……。」
「あぁ……、リリアには幼い時から隣国の王子が婚約者としていたんですよ。」
「国内じゃなくて国外か。所謂『政略結婚』ていう奴だな。」
「えぇ、向こう側からシュヴィアとの繋がりをつけたい、と。王族に生まれた者の運命ですよ。それでその国に援助をしたりと関係は良好だったんですが、母上についてリリアも母上の実家に行き母上のサポートをしていて忙しかったんです。そこで婚約者と時間の隙間が出来てしまったんです。」
「そういうのって情報とか入ってくるんじゃないのか?」
「勿論、情報は入ってきて調査をしました。その婚約者の相手というのが幼馴染の侯爵令嬢で、実はお互い小さい頃から好意は持っていてリリアのいない時に会っていたようです。まぁ、別に妃が複数いてもいいんですよ。その侯爵令嬢を側妃としてすればよかったんですが……。」
「その王子、勘違いしたのか?」
「……隣国の建国記念パーティーの席で、リリアとの婚約を破棄してその侯爵令嬢と婚約すると宣言したんです。」
なんで、公式の場で宣言するのかねぇ……。
「その現場に私もいたんですが……、頭を抱えましたよ。兄上の騒動が収まってないうちにこの件でしたからね。胃が明らかにズキッとしましたよ。更に隣のリリアからの怒りのオーラが凄まじくて……。」
「で、リリアはどうしたんだ?」
「『わかりました、婚約は解消いたします。その代り、今後我が国と友好的な関係は望めないとの覚悟はおありですよね? それでしたら、今まで援助してきたお金の返済と、貸していた精霊の加護の返却をさせて頂きますので。』と。その場でその国の加護が消えました。」
「その王子、自分の立場わかっていたのか?」
「わかってなかったから、出来るんですよ。『大国に対して抵抗できる俺カッコいい!!』て思っていたみたいですよ。当然ですが向こうの国王におもいっきり罵倒されて勘当されたそうです。」
当然だよなぁ……。
「それで今もそのトラブルの関係で話し合いが続いてるんですよ。リリアも初めての失恋で『もう恋愛なんてたくさん!!』て……。」
そう言ってため息を吐くシュバルツ。
……うん、何にも言葉が出てこない。




