元勇者、補佐官の事情を知る
リリアが着任してから数日が経過。
「おはよう、リリア。」
「あっ! ノエルさん、おはようございます!」
リリアは窓を開けて部屋の掃除をしていた。
「大分、ほこりが溜まってるんじゃないか?」
「こっちに来てから全然部屋の掃除をしてなくて……。」
「精霊使いなんだから精霊を使えばいいんじゃないか?」
「そうしたいのは山々なんですけど……、精霊達が拒否するんです。」
しょんぼりするリリア。
「あれ? 基本的に精霊は主人に仕えるんじゃないのか?」
「私が使役している一番最初の精霊はお母様から頂いたもので……、言ってみれば私の家庭教師みたいなものです。今回はその精霊の指示で『自分の事は自分でやれ』と。」
「精霊の世界でも年功序列てあるんだな……。」
「あ、おはようございます。」
「キャミー様、おはようございます。」
リリアがまず仲良くなったのは同じ精霊使いの力を持っているキャミーである。
お互い、名前だけは知っていたみたいで会いたがっていたらしくて、すぐに打ち解けた。
「リリアもすぐに打ち解けてくれて良かったよ。」
「シュバルツ、おはようさん。キャミーがいてくれたのは良かったよ。」
「お互い、環境も似てますからね。リリアは特にここ最近、荒れてましたからね。」
「荒れてた? なんで?」
「実は……、(小声で)婚約者がいたんですが最近解消になって……。」
……あぁ~、そう言う事?
「それは荒れて荒れて……、母上が一時的に精霊を離させましたから。精霊を使役するには心と体のバランスが大事ですから。」




