元勇者、ダンジョンのあり方を知る
「それで、このダンジョンはいつ作ったんだ?」
「一か月ぐらい前かな。集落を追い出されてすぐにここに居ついたから。元々此処は広かったから、ダンジョンを作るのに向いていたのよ。」
そりゃそうだ、基本こんな崖の所にダンジョンがあるとは思わない。
「でも、これでもまだ途中なのよ。」
「途中?」
「そう。ダンジョンは生き物と一緒で常に変化をするものだから。」
「それは、以前入ったダンジョンも変化してる、て言う事か?」
「そう言う事。」
「それはわかります。年に一回定期調査をしてるんですがフロアが増えていたり、新しい魔物がいたりします。」
マインが頷いていた。
「一つ聞いてもいいですか? 先ほど、生き物と一緒とおっしゃいましたが、それでしたら何らかのエネルギーが必要だと思いますが。」
「それはダンジョンによってそれぞれなんだけど、このダンジョンは人の『負の感情』をエネルギーにしているわ。」
そう言ってエルフィンはキーボードを叩いてある画面を映し出した。
それは3Fの映像だった。
「あう……。」
マインは思い出してちょっと落ち込んでいる。
「このフロアはちょっと変わってて、入って来たと同時に冒険者のデータが一瞬にして入ってきてその人物がトラウマになっているシチュエーションを実写化する事が出来るの。それによって、恐怖とかが発生するからそれを取組むことができるの。」
「それ、ある意味すっごい最悪だな!?」
「勿論、アフターフォローは考えていて、そのトラウマを除去出来る可能性もあるわ。」
「本当ですかっ!?」
急にマインがエルフィンに近づいた。
「か、顔が近い……。今のだと小さい頃に押し入れかなんかに閉じ込められたんじゃないの? その記憶が一番強く残っていたみたい。」
「……っ!!」
マインは驚いたような顔をした。
心当たりがあるみたいだな。




