元勇者、マインを励ます
3Fは主にゴースト系の魔物が多い。
マインはガタガタ震えながら『ヒィッ!?』とか『キャアッ!!』とか悲鳴を上げている。
「あぁ~、ゴースト系も苦手か。」
「姿が見えないので……。前にひどい目に遭って以来トラウマになってて……。」
そう言うマインの俺を握る手は進むにつれてどんどん力が強くなっている。
「とりあえず力を抜いてくれ。」
「すっ、すいませんっ!! ……ノエル様は怖くないんですか?」
「怖くは無いけど不安はある。先が見えない部分は勇者として旅をしていた時と同じだよ。魔王を本当に倒せるのか、世界を救えるかどうかのプレッシャーが凄かったんだ。」
あれは暗闇よりも先が見えなかったし不安しかなかった。
「ノエル様のプレッシャーに比べてみれば私なんかは……。」
「いや、そんな事は無いぞ。誰だって弱い部分はあるし完璧な人間はいない、そう見えてるだけなんだよ。だから、マインも気にしない方がいいぞ。」
「……ありがとうございます。少しは楽になったような気がします。」
そういうマインの言葉から少しは落ち着きを取り戻した様な気がする。
「そういえば、普段はどうしてるんだ? 夜とか不安があるだろ?」
「夜は薬を飲んで寝てます。こういうダンジョンがある場合は出来るだけ長くいない様にしています……。」