元勇者、ダンジョンを調査する
1Fにはスライムがメインだった。
壁の隙間から湧いて出てくる姿は若干気味が悪い。
マインはそんな事を気にせずにどんどん先へと進んでいく。
あくまで攻略ではなく調査が目的だから無駄な動きをしないのはプロに徹する、という感じだろうか。
「ノエル様、階段がありました。」
「こっから下にいけるんだな。どうだ? このダンジョンは?」
「1Fは特に何も変化はありませんね。ですが、2Fから特徴が出てきます。」
そう言って下へと下るマインと俺。
2Fに入ると1Fとはまた様子が違っていた。
「……俺達、ダンジョンにいるんだよな。」
「そうですね。」
「なんで、森があるんだ。」
2Fのスタートは森だった。
1Fは石の壁だったが、今度は木になっている。
「これは……、『地層型』ですね。」
「地層型?」
「ダンジョンには様々な種類があってオーソドックスなのは『迷宮型』、こういうフロアごとに形式が違うのは『地層型』、ダンジョンの中に建物があったり住んでいる人がいたりするのは『都市型』と分けられているんです。まぁ、結構レアだと思いますよ。」
そう言うとマインは持っていた銃を持つ。
「魔物を討伐するのか?」
「いいえ、ダンジョンの魔物の生態調査も目的ですから、これは麻酔銃です。」
そう言うと茂みに銃を撃った。
ドサッという何かが倒れる音がした。
音がした方に行ってみると魔獣が倒れていた。
マインはバックから腕輪みたいな物を取り出し魔獣の足に取り付けた。
「この腕輪は魔獣のデータを取って自動的にギルドに転送してくるんです。」
こういう事もやっているのか。
よく考えてみればダンジョンにどういう魔物がいるかとかちゃんと載っているのもマインみたいな調査員がいるから知れるんだよな。
縁の下の力持ち、てこういうのを言うんだな。