元勇者、調査員を出迎える
村に戻って数日後、ギルド本部から調査員がやって来た。
意外だが女性、しかもまだ若い。
「『マイン・ネコール』と言います。」
「この村の村長兼領主のノエルだ。こんな田舎の村まで来ていただいてありがとう。」
「いえいえ、勇者様にお会いできて嬉しく思っております。」
このマインという少女、意外と物腰が柔らかく高ランクの冒険者特有のプライドとか上から目線とかは無かった。
「そりゃあ、ノエルの前だったらどんなに高レベルでも低姿勢になるだろ。」
……改めて、俺がやった事の凄さを感じた。
「早速ですが、ダンジョンのある場所に案内してくれませんか?」
「案内してもいいけど、正直人が出入りできるような場所じゃないぞ。」
「大丈夫です。これまでも様々なダンジョンに入ってきましたから。それなりに経験は積んでいます。」
早速、俺はマインをダンジョンのある場所に案内した。
「なるほど、この上にダンジョンがありそうですね。」
「ただ、上に行く道が無いんだよなぁ……。」
「それだったら、心配無用です。」
そう言ってマインは呪文を詠唱すると体が宙に浮かんだ。
「なるほど、『浮遊魔法』か。」
「私も一応ある程度の魔術を覚えているので。」
そりゃそうだよな……。
「私は上に行ってダンジョンを探します。見つけたらロープを垂らしますので登ってきてください。」
そう言ってマインは上に行ってしまった。