元勇者、ダンジョンを見つける
二手に分かれてダンジョン探しを始めた俺達。
洞穴という洞穴を探しまくったがダンジョンらしき物は見つからず……。
「やっぱりガセだったんじゃないか?」
「ダンジョンの周辺だと魔力を多少は感じる事が出来るんですけど。」
俺としてはガセであった方がありがたいな。
只でさえ領主として国に報告書を出さなければならないのに、更にダンジョンの管理となると余計に忙しくなる。
そんな事を考えている時にサラ達が戻ってきた。
「サラ、どうだった?」
「周辺を探してみたのだがやはり無かった。ただ……。」
「ただ?」
「少しだけ魔力を感じるポイントがある。」
「この岩場の上の方から魔力が下に流れてきてるみたいでたまり場みたいな所があったんです。」
自然発生した魔力は重力の関係で下に下に流れていく事がある。
魔力を回復する事ができる『スポット』という場所がそれだ。
スポットがある所には大体発生源となる場所がありそこはダンジョンだったりする。
「て言う事はこの上にダンジョンがある、と言う事か……。」
流石に上には登った事ないな。
だって、道が無いからな。
上に行くには登るしかない。
「ちょっと待ってろ。」
そう言って俺は目を瞑った。
「『遠隔透視魔法』起動。」
脳内に一気にこの辺の地理が入ってくる。
この魔法は周辺の上空から地下までを見通す事が出来る。
ただ、情報量が一気に入ってくるのでドッと疲れるのがデメリットなんだよな。
「……見えた。確かに上の方にあるな。」
「えっ!? 見えたんですか?」
「まぁな。大体地下4層といったところか。」
「流石は元勇者だな。そんな事も出来るのか。」
「俺だけじゃなくてアイナも使えるはずだぞ。」
とりあえず、一旦村に帰るか……。




