ハノイ村の朝の風景
ゴーンゴーン
教会が修復されてから毎朝、鐘がなるようになった。
「すっかり定着するようになったな。」
「この鐘がならないと朝が来た感じがしないな。」
俺とサラは外に出た。
「あっ! 村長さんおはようございまーす!」
「おはよう、ルーシェ。今日も元気だな。」
「うん、いい天気だもん♪」
ルーシェを含む子供達は外で遊ぶ事が多い。
非常に良い事だ。
孤児院には決められた時間と言うのは無い。
食事の時間以外は基本的に自由だ。
今の鐘も食事の時間を知らせる為の鐘だ。
「もう食事は終わったのか?」
「うん、今日はねキャミーお姉ちゃんが焼いてくれたパンとね野菜のスープとサラダが出たんだよっ! すっごく美味しかったの!」
「そうか、良かったな。」
俺はルーシェの頭を撫でた。
ルーシェは笑顔で走って行った。
「元気でいいな。」
「うん、子供って言うのは逞しいもんだよな。」
「でも、いつかは自分の境遇の事を知らなきゃいけない日がくるんだろうなぁ。」
「それは本人が知りたかったら教えればいい訳だし……、その覚悟を自然に覚えさせなきゃいけないんだよな。」
それが近い日になるか遠い日になる日か永遠に来ないかはまだわからない。