錬金術師、奮闘する
「それってミラージュは知っているのか?」
「最初は知りませんでしたが、途中でばれましたけど特に責められる事はありませんでした。」
「じゃあ、今の魔族はその生き残りの血を引いている、と言う事か?」
「それはわかりません。魔族に関しては知らない事ばかりなんです。師匠はともかくとして、彼らが人類と敵対する理由やどこからやって来たのか、とかを研究すれば共存できる道があると思うんです。」
それは俺も同じだ。だから、魔族の子も受け入れた訳だし。
「今は友好な関係を築こうとしているんですから良いチャンスだと思うんですよ。魔族と共存できる道、歩み寄るチャンスだと思うんです。それはレダだって同じ事ですよ。」
「そ、そうですか……。」
「えぇ、ジャレットから歩み寄れば彼女も歩み寄りますよ。彼女を作ったのは貴女なんですから。」
「そ、そうですよね……、わ、わかりました。私、頑張ってみます。レダ、よろしくね。」
「♪」
この日からジャレットの奮闘が始まった。
それから一週間後
「ノエルさんっ! レダが漸く言葉を喋る様になりましたっ!」
「おいおい、ドアが壊れるからゆっくり開けてくれ」
勢いよくジャレットがドアを開けて入ってきた。
「レダ、挨拶してみて。」
「……ワタシ、レダ。」
単語だが声ははっきりしている。
あと、やっぱり女の子だったんだな、て事が認識できた。
「俺はノエル、言えるか?」
「ノエル?」
「そうそう、今は単語だけか?」
「そうですね、でもやっぱり知能は高いですよ。」
そうだな、一週間でここまで喋れるのはやはり凄いと思う。
「でも、ジャレット疲れてないか?」
「いやぁ……、ずっと一人で過ごしてきたんで誰かと一緒に生活する機会が無かったんですよ。」
「弟子時代は兄弟子たちと一緒に生活してなかったのか?」
「兄弟子はみんな男性ばっかでしたから、私は特別に個人部屋を用意してくれたので……、それにあんまり錬金術師はコミュニケーションを取るのが苦手な人が多いんですよ。マイペースというか……。」
それはシエンスを見ればわかる。




