錬金術士の師匠、過去の失敗を話す
三日ぶりぐらいの更新です。
「そう言えば、レダってまだ一言も喋ってないよな。」
美味しそうに食事をしているレダを見ながら俺は言った。
「ホムンクルスは既にある程度の知識を持っていますが、その代り、心身に何処か欠けた状態で生まれてくる事が多いんです。彼女の場合は自分がどういう状況なのかわからない状態なんです。」
「時が経てば声も出る、て言う事か?」
「そう言う事ですね。」
「あの~、師匠……。レポートとか拒否しても『ダメですよ』デスヨネ~。」
ジャレットは認定を受けてから石化していたが、暫くして顔が青くなった。
「ジャレットはもう少し自分に自信をつけるべきだと思いますよ。偶然とはいえ賢者の石、及びホムンクルスの錬成に成功したんですから。」
「意識してやってないから二度と作れないんですよ。」
「それで良い、と思いますよ。この村でホムンクルスが作られた事は良い事だと思います。」
「賢者の石とかホムンクルスとか作るのは錬金術師の夢、て聞いたんだが。」
「夢は夢ですよ。私も作った事があります。だけど、取り扱いに注意しないとダメなんですよ。」
「それはもしかして過去に大きな失敗をした、とか。」
「えぇ、壮大な失敗をしてるんです。私の師匠が。」
え? シエンスの師匠?
「師匠は偏った考え方をしていまして……、錬金術こそ最高の術である、と盲信していたんです。当時は錬金術はあまり評価をされてこなかったので、それが師匠には我慢が出来なかったみたいで。師匠は自らを『魔王』と名乗り大量生産されたホムンクルス達と各国に宣戦布告をしたんです。」
魔王?
「それってもしかして、ミラージュやシエンスが参加した?」
「えぇ、言ってみれば私は師匠の尻拭いをされたわけで……。」
先代勇者の魔王討伐の裏にそんな事実が隠されていたとは……。