錬金術師、賢者の石の扱いに困る
「……それで、コレが出来上がったのか。」
「はい……、偶然の産物ですから、同じような物を作れるかどうかはちょっと……。」
アイナから報告を受けた俺は机の上で光っている石を見ていた。
「まぁ、出来ちゃった物はしょうがないとして……、問題は取り扱いだ。」
「賢者の石と言えば、人間を不老不死にする事も出来るし、使い方によれば世界を震撼させる事も出来るわよ。」
俺も詳しくはわからないが物騒な物である事だけはわかる。
「ですから、困ってるんですよ。」
「作ったんだからジャレットが使えばいいんじゃないか?」
「む、無理ですよっ!? 私みたいな錬金術師が扱える代物じゃありませんよっ!?」
「確か、錬金術師の世界では賢者の石を作る事、『ホムンクルス』を作る事が一流の錬金術師の証、って聞いた事あるけど。」
「無理ですってっ!? 私が一流になれる訳がありませんし、私はポーション作りで精一杯なんですっ!!」
そこまで、自虐するか?
「まぁ、取り扱いについてはシエンスにも聞いてみた方が良いかもしれないな。」
「そ、そうですね。師匠に相談した方が良いですよ。」
とりあえず、この話は一旦保留となった。
が、次の日の早朝
ドンドンと扉をたたく音で目が覚めた。
「ふわぁ、どうしたんだよ、こんな朝早く……。」
玄関を開けたら涙目のジャレットの姿が。
「どうした、ジャレット? 顔色が悪いぞ?」
「あの、村長……、真に言いにくい事なんですが……、やっちゃいました。」
「やっちゃった、て何を……。」
そこで俺はジャレットの横に小さな女の子がいるのに気付いた。
「もしかして……。」
「……ホムンクルスです。」
ジャレットはもう天才ではないか、と思う。




