錬金術師、『賢者の石』を作る
今回は、村人達の日常とか出来事を書いていきたいと思います。まずは錬金術師のお話……。
「ふわぁぁぁぁ……。」
錬金術師ジャレットはボサボサの髪の毛を掻きながらベッドから起きた。
ハノイ村に来てから彼女はポーション作りをメインに作業していた。
彼女の作るポーションは開拓団の面々に評判がよく、毎日せっせとポーション作りに精を出している。
錬金術師だったらもっと上を目指すべきだろうがジャレットはマイペースにポーション作りをしている。
「さぁ、今日もポーションを作りますか。」
すっかり慣れた手つきでポーション作りを始めた。
錬金術用の鍋にポーション用の材料を入れてかき混ぜていく。
しかし、彼女には『ある弱点』があった。
それは、『ドジっ子』である、と言う事。
「あともう少しで完成……、っと、きゃあっ!!」
足元に置いていた本に躓きこけそうになったジャレットは思わず材料が入れている棚に手をかけた。
ボチャン!
「あぁっ!!」
ポーション用の鍋に棚に置いてあった材料が入ってしまった。
余計な物を入れてしまうとポーションは全く別の物になってしまう。
中には爆発してしまう物が出来てしまう事もあり、ジャレットは思わず部屋の隅に蹲り耳を塞いでいた。
「……あれ?」
蹲ってガタガタ震えていたジャミットは何も起こらない事に気づいて恐る恐る鍋の中を覗いた。
「あ、あれ……、これって。」
鍋の中には緑色に光る石があった。
「え、まさか……、これって……。」
恐る恐る鍋の中にある石を手にして観察してみる。
「おはよう、ジャレット、って何かあったの?」
「あ、アイナさん。おはようございます……、ど、どうしましょう……、わ、私……、『賢者の石』を作っちゃったみたいです。」
「え……?」




