元勇者、セイトの元仲間の末路を聞く
「な、なんでミリィがここにっ!? ていうか、他の皆はっ!?」
「落ち着け!セイト!!」
動揺しているセイトを何とか落ち着かせる。
「えーと、君はセイトを追放したメンバーなのか?」
「は、はい……、それが原因で冒険者免許をはく奪されました。」
「俺はノエルて言うんだ。とりあえず、話を聞かせてもらえないか? セイトの為にも。」
「……はい。」
ミリィは何か覚悟を決めた様な顔をした。
その顔を見て俺はなんとなく察した。
セイトにとってはきつい話になるかもしれないな。
「セイト、落ち着いたか?」
「あ、はい……。それでミリィ、他の皆は?」
「その前に私達がどうなったか、伝えておいた方が良い、と思うの。」
そう言ってミリィは話し始めた。
「セイトを追放した後、私達はSランクへの昇格試験を受けたの。試験は無事に終わって私達は正直セイトの事は忘れていたの。目の前にあるSランクに目が眩んでいたのかもしれない……。」
「でも、結果は違っていた。」
「私達はSランクの重要さに気づいてなかった。その時点で私達はSランクに相応しくなかったのかもしれない……。ギルドマスターから結果を聞かされて他のメンバーは納得いかなくて喰ってかかっていたけど、私は納得したの。結果、私達は冒険者免許の剥奪、ギルドからの追放になったの。」
「ミリィは冷静に見てるんだな。」
「私は『賢者』だから。セイトがパーティーで一番頑張っているのを見ていたし、他の皆がだんだんと変化していくのを見ていた。だけど、私にそれを止める事が出来なかったの。それは後悔してるの。」
なるほど、賢者はパーティーの参謀役でもあり暴走したらストッパーの役目もなっている。
「その後、私達は解散する事になったんだけど、新しい職を探すにも冒険者が転職するのは大変なの。私は結局ギルドに頭を下げて此処を紹介してくれたの。」
「他の皆は?」
「フリーの冒険者になったわ。『ギルドに頼らなくても大丈夫だ。』て言って……、私も誘われたけど断ったわ。それで別れてすぐに……、魔物に襲われて亡くなったわ。」
「亡くなった……? あんなに強かったのに?」
信じられない、という顔をするセイト。
「フリーの冒険者になると情報が入ってこないの。知らない内に強い魔物のエリアに入っちゃったんじゃないか、て。それに装備も十分じゃ無かったみたいだし……。」
「なるほど……。」
「だから、私元パーティーの皆みたいな人を出さない為にギルドで働きたいの。冒険者を死なせない為に。」
「そういう事があったんだ……。」
「それでこのギルドに来たらセイトがいたの……。生きててくれて嬉しかった。」
そう言って涙ぐむミリィ。
「そう言ってくれてありがとう、ミリィ。こうして会えたのも何かの縁だし、またよろしく頼むよ。」
「私は直接冒険に出る事は出来ないけど……、サポートはするから。」
「うん、よろしく!」
このギルドにまた一人新しい仲間が増えた。