元勇者、鍛える
「まずは道具だが、お金は無いんだろ?」
「はい……、お金は全て最低限の物だけで後は置いていくように、と……。」
容赦ないな、そのパーティー。
情けと言う物は無いのか。
「だったら、レンタルしようか? 金を稼げるようになったら買い取っていいから。」
「ありがとうございます。早く稼げるように頑張ります。」
やる気は十分だな。
早速、防具、剣を用意してもらう。
防具や武器にもレベルがあり、同じ物を使っていけばレベルは上がっていく。
当然、新人冒険者の武器や道具はレベル1から始まる。
ギルドの裏側にある訓練場へ行く。
「さて、基礎訓練を行う。まずは俺が相手をするからかかってきてくれ。」
「武器は持ってないんですか?」
「あぁ、俺はよけれる自信があるから全力でかかってきてくれ。」
「わかりました。」
そう言ってセイトは剣を構える。
そして、俺に向かってくる。
ブンブンと俺に剣を振ってくるが俺はヒョイとよけていく。
よけながらも俺はセイトの動きを冷静に観察している。
剣士としての基本的な動きは出来ているが無駄な動作が多い。
後、体力が無いな。すでに息切れをしている。
やはり大きな能力を持っていると体力が異常に減っていく。
これは俺も経験していたから凄くわかる。
「よし、ここまで。」
「はぁはぁ……、疲れました。」
「まずは体力向上を目指そう。これから毎日ランニングをするぞ。基本的な動きは出来ているから、少し練習すればすぐにレベルは上がるはずだ。」
「本当ですか!? が、頑張ります。」
性格も良いし、実力がついたとしてもその謙虚さは忘れてほしくないな。




