元勇者、水神様と出会う。
「貴方達が封印を解いてくれたのね! ありがとう!」
水色の長い髪に白いドレスを着た少女がテンション高めに俺達にお礼を言ってきた。
「いや、まぁどういたしまして・・・・・・って言うか、あの君は?」
「私? 私は『アクア』、この国の『水神』よ。」
「やはり、神が封印されていたのか・・・・・・。」
サラが納得した様な顔をしていた。
「て言う事はこの井戸が住処だったのか。」
「正確に言うと、水がある場所が私の居場所で支配下なのよ、勇者ノエル。」
「へっ!?何で俺の名前をっ?」
「この世界を管理している神から貴方の名前は聞いていたもの。」
そうか、まぁそりゃそうだよな。
「それに、私の封印を解いた、という事は魔王が倒された、という事でしょ?」
「あぁ、そうだな。まぁ俺は元勇者だけどな。」
「? どういう事?」
俺はこれまでの経緯を話した。
「何それっ!? 手柄を横取りするなんて信じられないっ!!」
アクアは俺の話を聞いて激怒した。
「勇者の活躍を蔑ろにする国に加護なんて与える訳にはいかないわ。たった今から全ての水源を絶たせる!」
「ちょっと待ってくれ! 流石にいきなりは無関係な住人達に迷惑をかけるから。」
「じゃあ、徐々に締め付けていくわ。まずは川の水量を減らしていくわ。」
あ、罰を与える気は満々なのか。
「出来れば、この土地を潤して欲しいんだ。」
「わかったわ。貴方は世界を救った英雄だもの。私達、神は貴方の味方よ。全力でサポートしてあげる。」
それから数日後、干上がっていた土地に潤いが出てきた。
どうやらアクアが水脈をこの村に移動させたらしい。
これで農作物を作る事が出来る。
お礼と言ってはなんだが井戸を修復した。