元勇者、パーティーの裏側を知る
「えっ!? ビーナに会ったのっ!?」
「偶々だよ。」
村に戻って来た俺はアイナにビーナに会った事を話したら驚いていた。
「聞いたら、幼馴染みらしいじゃないか。心配していたぞ。」
「そぅ・・・・・・。昔からお人好しだったから。」
「口を聞かなくなった、というのは。」
「親の指示よ。ビーナは天才肌で、直観で魔法を使うタイプだったから。親としては私の目の上のたん瘤だったから、『余り仲良くするな』て言われたのよ。私もばか正直に鵜呑みにしちゃって・・・・・・。」
そういう事情があったのか。
「向こうは今でもお前の事を友達だ、て思ってるみたいだから連絡した方が良いぞ。」
「そうね・・・・・・、そうするわ。」
「それから・・・・・・、『魔導実験』の事も聞いた。」
「そう・・・・・・。」
アイナは裾を捲り腕を見せた。
腕には注射の痕が残っている。
「魔力を向上させる薬を投与されたの。今はだいぶ慣れたけど旅をしていた時は副作用に苦しんでいたわ。」
「たまに辛そうな顔をしていたのは副作用が原因だったのか。」
「そうよ。私は『パーティーの皆も同じ様な事をやってる』って聞いたから魔導実験を受けたのよ。」
「・・・・・・ちょっと待て。俺はそんな事してないぞ。」
「・・・・・・えっ?」
「他のメンバーは知らないが俺は間違いなくそんな事はやって無いぞ。」
「もしかして・・・・・・、私だけ?」
後日、調べてみたらやはりアイナだけだった事が発覚。
それがわかった時のアイナのキレようと言ったら・・・・・・。
レバニアの牢獄にいる実の両親を殺してやる位の勢いを止めるのに必死だった。
これでアイナの家族関係は完全に修復不可能となった。




