元勇者、魔法教会の現状を知る
俺はレバニアに来ていた。
ガッシュ将軍から呼び出されたのだ。
「わざわざ呼び出して申し訳ない。レバニアの現状をご報告しようと思いましてな。」
「改革は上手く行ってるんですか?」
「えぇ、みんなで話し合いながらも進んでおります。」
ガッシュ将軍から渡された資料を見ながら聞いた。
まぁ、俺の出来る事なんて何もないんだが……。
「そういえば、魔法協会ってどうなりました?」
「あぁ……、あそこが一番の鬼門でしてな。」
鬼門?
「あそこは古い時代の伝統を重んじていますから、なかなかメスを入れる事が出来なかったんです。」
「出来なかった、っていう事は漸く出来たんですね?」
「えぇ、不正や賄賂、汚職等の証拠が大量に出ましてな。」
「誰かが摘発したんですか?」
「はい、実は魔法協会の会長が証拠を出してくれたのです。」
「へっ!? 会長自ら?」
幹部とか部下がするならわかるけれども、まさか会長自ら告発するとは……。
「それで、協会幹部は総交代、新体制がスタートしたのです。不正に関わった者は逮捕、更迭しました。」
「アイナの親も、更迭されたのか? あいつの家族はエリートと聞いてるんだけど。」
「えぇ、逮捕され裁判にかけられ牢獄に入れられております。アイナという娘もエリートの家に生まれたばかりに翻弄されて……。」
まぁ、本人は気にしてないみたいだけどな。