元勇者、錬金術師の過去を知る
「せ、先代勇者って……、ミラージュの事も知っているのか。」
「勿論ですよ。先代勇者のパーティーで生き残っているのは私と彼女ぐらいですよ。そういえば彼女は元気にしてますか?」
「あぁ、元気だよ……。」
「それはよかった。」
そう言ってにっこり笑うシエンス。
「でも、なんでシュヴィアの街に残ったんだ? 勇者パーティーは確か全員聖国へと移住したはずなんじゃないか?」
「確かに私も聖国にいましたよ。ですが、シュヴィアの国王に頼まれて戻ってきたんですよ。」
「頼まれたって?」
「『知恵を貸してほしい』と。手は出さなくていいから口を出してくれ、実行は我々がやる、と言われましてね。」
「反対はされなかったのか?」
「別に、基本的にみんな個人行動をしてますから。でも、ミラには話は通しましたよ。ミラも快く送り出してくれました。」
この話、後日ミラに聞いたら、曰く『シエンスはマイペースで自由気ままに行動するから、規制してもしょうがない。』との事だった。
まぁ、かなり翻弄されたみたいで愚痴が次々と出てくる。
先代勇者の次に手がかかったらしい。
先代勇者のパーティーって個性的な面々が多かったんだな、と思う。




