元勇者、シュヴィアのギルドへ行く
「……という訳でこの村にもギルドを作る事になった。」
俺はみんなにギルドを作る事を説明した。
「確かにあった方がいいかもしれないな。」
「建物はどうするんですか? ギルドとなるとやっぱりある程度の大きい建物が必要ですよ。」
「う~ん、新たに作るしかないな。アムール、頼めるか?」
「勿論ですよ。デザインの方は任せてください。」
よくよく考えればうちの住人達は職人が多いから便利だな。
「ギルド長はガーザス、頼む。」
「ノエルがやるんじゃないの?」
「流石に役職が増えるのは……。」
村長とか領主って結構大変なんだぞ。
トラブルとかあったら国に報告しなきゃいけないし、毎日書類との格闘だよ。
ギルドくらいは一冒険者として活動したいんだよ。
「名前はどうする。」
「そのまんま、『ハノイギルド』でいいだろ。」
こうしてギルド作りが始まった。
数日後、俺とガーザス、サラはシュヴィアの王都にいた。
ギルドの申請と運営のやり方の講習を受けるためだ。
書類の方は国に出せばいいだけで、講習の方はシュバルツがシュヴィア一の大手ギルドを紹介してもらった。
ランクはSランク、建物はやはり広いし大きい。
ここは冒険者、魔法、商業等を一つの建物の中でやっているそうだ。
考え方としては、うちと似たようなものだ。
ギルドの前では一人の男性が俺たちを待っていた。
「お待ちしてました、ハノイの皆さんですね? 私はこのギルドのマスターを務めています。」
「どうも、ノエルと言います。」
「ギルドマスター予定のガーザスです。」
「サラだ。」
お互い自己紹介をして中に入る。
中はやはり人が多くてにぎやかだ。
しかし、このギルドマスターは結構若い男性だ。見た目20代ぐらいだろう。
大体ギルドマスターになるのはベテランの冒険者が多くて、40代~50代が多いし、それなりの功績が無いとギルドマスターにはなれない。
だから、この若いギルドマスターは珍しい。
俺たちはギルドマスターの部屋に入る。
中は本が多く本棚にはぎっしりと本が置いてある。
「改めて、ギルドマスターの『シエンス』と申します。シュバルツ様から話は聞いております。その前に……、うちの弟子がお世話になっています。」
「弟子?」
「はい、ジャレットの事です。」
「えぇっ!? それじゃああんたは……。」
「はい、錬金術師です。そして、ジャレットの師匠でもあります。」