元勇者、レバニア国、王都へ行く
レバニア国、王都
「遂に来たか‥‥‥。」
俺はレバニア国にやって来た。
勇者任命式以来だ。
帰ってきてからは1回も足を踏み入れていない。
さて、何故やって来たのか。
なかなか行く心境にならなかったのだがガーザスから何回も誘いがあったからだ。
何せ、俺を裏切った国だから心中は複雑だ。
だが、ずっと避けていてもしょうがないのでこうしてやって来た。
「おぅ、やって来たか。」
ガーザスが街の中心地にある公園で待っていてくれた。
「久しぶりに来たが、そんなに変わってないから安心したよ。」
「実は結構変わったんだよ。この公園の噴水にはカインの銅像が建っていたんだ。クーデター後に潰されて今は跡形も無いけどな。」
「‥‥‥何でそんな物を?」
「英雄として後世まで語り継がれる様に作ったんだろう。まぁ、別の意味で歴史に残るだろうな。」
街中は結構普通に暮らしているし、さほど変化は無かったので安心した。
俺はガーザスに連れられガーザスの自宅にやって来た。
「本当に貴族だったんだな‥‥‥。」
「信じてなかったのかよ!? まぁ、今はもう貴族じゃないけどな。おーい、ノエルを連れてきたぞ~。」
ガーザスと共に玄関に入ると、奥から女性が出てきた。
「ようこそいらっしゃいました。私ガーザス様の妻の『ミレシア・エドハルト』と申します。」
現れたのは気品のいいお嬢様、という感じの女性だった。
『美女と野獣』というのはこういう事を言うだろうか。
ガーザスは野獣と言ってもイケメンの方に入るが。
流石に口には出さないけどな。




