元勇者、ほくそ笑む
セラウィン伯爵に寄生花の種を売って数日後、影響はすぐに出始めた。
寄生花は綺麗な花を咲かしたが、その代わり周りの穀物や花、果実が枯れ始めたのだ。
たまにこっそりと偵察に来てみれば土地はどんどんと荒れ果てて行った。
因みに他の土地に影響が出ないように周辺には防御策はとってある。
アリス曰く、寄生花の影響を防止する為には、これも魔界にしかない特殊な肥料を撒くと他の土地には影響が出ないらしい。
セラウィン邸では怒鳴りあう声が毎日の様にしているそうだ。
更にセラウィンは自分がお世話になっている財界の関係者にも寄生花の種をあげたそうだ。
勿論、結果はわかっているだろう。
財界やら貴族やらから損害賠償を請求されて、セラウィン家は一気に傾いている。
そして、遂に国に泣きついてきた。
実はシュバルツはこれを待っていた。
シュバルツはセラウィンがやって来た違法行為を激しく断罪した。
セラウィンも泣く泣く今までやって来た事を認めたらしい。
結果としては、セラウィン家は親子共々逮捕され、領地没収、身分剥奪、奴隷堕ちが決定した。
これから過酷な人生が待っているだろうが誰も同情はしない。
自業自得である。
「私、一発ぶん殴ってやりたかったですわ。」
「手出したらアウトだろ。まぁ、わずか1ヶ月で一気に転落していったな。」
「いい気味よ。私も長年の恨みが晴れてスッキリしたわ。」
アンジェは残念そうに、アイナはスッキリした笑顔で言い放った。
因みに商人は国外追放処分を受けた。
「皆様、ありがとうございます。こうも早く解決するとは思っていませんでした。」
「伯爵も早く体調がよくなればいいな。」
「それなんですが、実はお父様は隠居する事になりました。それで私が新しい領主をする事に‥‥‥。」
「まぁ、メラン様が!?」
「ですが、私はお父様の手伝いをしていましたが、領地を開拓するにも知識がございません。ノエル様、是非ノエル様と協力関係を結ばせて頂けないでしょうか?」
「つまり、俺の領とメランの領を同時に開拓していこうって事か。別に構わないぞ。」
「ありがとうございます。」
こうして、俺とメラウィン家は協力関係を結ぶ事になった。




