元勇者、今後の計画を立てる
その日の夜、採ってきた山菜やキノコを使って鍋を作った。
「だ、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。安全な山菜やキノコしか入ってないから。」
やはり毒キノコを食べたトラウマがあるからだろうか、サラは躊躇していた。
「男の料理だから味は大雑把だけどな。」
器に食材を盛ってサラに渡す。
サラは恐る恐るキノコを口に入れた。
「・・・・・・美味いな。」
「だろ? パーティー組んでいた頃は野宿をする時は俺が食事を作っていたんだ。」
「勇者なのにか?」
「あぁ、アイツら雑用とかめんどくさい事は全部俺に押し付けてたからな。まぁ、俺が一番身分が下って言う事もあるだろうけど。」
ステラは幼馴染みではあるけど、村長の娘で裕福だった。グダールとアイナも家柄は良かった。
冒険者として活動していたのは俺だけだ。
・・・・・・あぁ、身分って言うのもステラが王子に靡いた理由の一つなんだろうな。
「ところで、これからどうするんだ?」
食事を終えた後、サラが聞いてきた。
「どうするって、俺はこの家、この村で静かに暮らすよ。もう勇者なんて懲り懲りだよ。」
「この何も無い場所でか?」
「何も無いなら作れば良い。資源はあるからな。サラはどうするんだ? 奴隷では無くなった訳だから魔王軍を再興するか?」
「いや、私も戦いはこりごりだ。こういう場所でのんびり生活するのも悪くない。」
「じゃあ、此所で暮らすか?」
「良いのか?」
「別に構わないよ。見ての通り、空き家は山ほどあるからな。建て直しすれば使えるし。」
やはり一人で暮らすのは寂しいからな。
「それでは、・・・・・・宜しく頼む。」
こうして、サラはこの村の住人となった。