元勇者、男同士で恋の話をする
「まさか、邪神まで来るとは‥‥‥。」
「俺も正直引いたわ。でも、それなりに楽しんでるみたいだし、別に害は無いだろ。」
「そうですね、無理に寝た子を起こす様な事はしない方が良いでしょう。」
村にやって来たシュバルツに先日の話をした。
「しかし、ノエル殿は持ってますね。」
「何をだよ。言っとくけど人徳なんて無いぞ。あったら裏切られて無いからな。」
「まだ、気にしているんですね。」
「そうだな‥‥‥、正直暫くは一人で過ごしたい。」
「羨ましいですよ。そういう風に自分の人生を選択出来るのが。王族は生まれた時から国を背負う運命ですからね。」
シュバルツが、はぁ、と溜め息をついた。
「でも、それなりにメリットはあるだろ? 例えば婚約者がいる、とか。シュバルツにもいるんだろ? 婚約者。」
「元は兄上の婚約者ですけどね。」
「へっ? 兄がいたのか?」
「言ってませんでしたね、私は三男なんですよ。兄が二人いて、今の婚約者は長男の婚約者だったんです。」
そこで聞いたのが、その長男がやらかした婚約破棄騒動の顛末。
うん、会った事は無いがその長男、馬鹿だろ。
自分の浮気を正当化出来る訳無いだろ。
まぁ、肉体的にも精神的にも罰は与えられたみたいだから良いか。
「しかし、複雑なんじゃないか? 兄の婚約者が自分の婚約者になるなんて。」
「複雑は複雑ですけど、『アンジェ』がそれで良いって言ってくれてますから。」
仲良くはやってるみたいだから良いか。