元勇者、アリスとサラの関係性を知る
サラが魔王軍にスカウトされ一番最初についたのがアリスの守護騎士だった、という。
出会った頃のアリスは今みたいな性格ではなく我が儘で冷酷だったらしい。
ただ、それも『魔王の娘』という肩書きからの表向きで、本当は優しく傷つく事を嫌い、人間との和睦を目指そう、としていたそうだ。
アリスの素顔を知ってからはサラはアリスの唯一の味方となった。
このままいけば良かったのだが、どこにでもある権力争いにサラは巻き込まれ、魔王の怒りを買い魔王軍を追放されてしまった。
アリスともそれ以来の再会だという。
「サラぁ‥‥‥、ずっと心配していたのだぞ。」
涙目でサラを見るアリス。
その顔は年頃の少女の顔になっていた。
「サラ様がいなくなってから、アリス様は荒れておりました。前魔王に反旗を翻す寸前だったんですよ。」
メイドが物騒な事を言ってるぞ‥‥‥。
「そうでしたか‥‥‥。しかし、魔王の後を継いだのがアリス様で良かった。これで無駄な血を流す事は無いでしょう。」
「勿論だ。我が国も長年の戦いに辟易している。まずは人間国との友好関係を結び貿易を盛んにし、潤わさないといかん。」
こうして、面談は無事に終了した。
村に帰って来た俺達は面談の内容をみんなに話した。
「魔族でも話がわかる人もいるのね。」
「俺もビックリしたよ。まぁ、アリスの性格だったら人間との和睦も上手くいくだろうな。」
「その分、アリス様は怒らせたら怖いからな。ノエル殿も気をつけた方が良い。」
「そんなに強いのか?」
「私が守護騎士になった理由が『アリス様をコントロールし、暴走しない様に監視せよ。』という事だったからな。魔力だけでも前魔王様より強いぞ。」
「マジかよ‥‥‥。」
「だからこそ新たな魔王になれた訳だ。」
うん、気をつけるか。
その後も他の国とも和平交渉は続き、その際ドジっ子が発動し運よく空気が和み上手く言ったそうな。
アリス曰く『私はもっと真面目な話をしたいのにっ!!』と不満を洩らしていた。
因みにだが密かにアリス人気が高まっていて一部ではファンクラブが出来た、という。