幕間 魔王城跡地にて
数日後、シュバルツは魔王城の跡地に来ていた。
「見事に瓦礫の山だ・・・・・・。」
跡形もなく崩れ去っている魔王城を見てシュバルツは呟いた。
「こうもボロボロだと証拠を探すのも困難だな・・・・・・、ん? あれは・・・・・・。」
瓦礫の山をかき分けシュバルツは突き刺された聖剣、そして脱ぎ捨てられた鎧を発見した。
「これは聖剣に勇者の鎧!? 何故、此処にあるんだ?」
『それは勇者ノエルが置いていったからよ。』
「っ!?」
突然、声がしてシュバルツは辺りを見回したが誰もいなかった。
『私は此所よ。聖剣の中よ。』
「け、剣が喋っているのかっ!?」
『正確に言うと、聖剣を通して話しているんだけどね。私はこの世界を管理している神よ。』
「か、神・・・・・・? それに勇者殿の名前はカインでは?」
聖剣から聞こえてくる『神』の声に戸惑うシュバルツ。
『いいえ、勇者はノエル・ビーガー唯一人。私が指名したんだから間違いないわ。』
「では、何故名前が違うのでしょうか?」
『愚かな人間の王が我が子可愛さに勇者の手柄を横取りしようとしたのよ。我が子を偽の勇者へと祭り上げようとしているわ。』
「やはり、そうだったのか・・・・・・!」
神の証言により疑惑は確信へと変わった。
『人間よ、この聖剣及び鎧を持って帰りなさい。そして本来の主である勇者ノエルの元に返すのです。きっと聖剣が導いてくれるでしょう。』
「わかりました! 必ず勇者殿にお返し致します。」
シュバルツは聖剣と鎧を回収し、シュヴィア王国へと帰還した。