第6話 激戦?
「はあぁ、」
「グゥ、グゥゥ」
俺の拳を掴もうとした。しかし止めようとした手のひらは、拳の威力によって、肘から骨が飛び出した。
「グゥ、、、」
俺が様子を伺っていると、、
「グゥッ、」
なんと自分の腕を千切り取った。そして、転がっている魔物の腕を引き千切ると、自分の手にくっつける。すると、腕の断面どうしがくっついて、元々が魔物の腕だったかのように、動くようになった。
「なにっ。」
今度は拳ではなく、剣で打ちかかる。
「はっ、!」
「グゥ、、」
真っ直ぐに振り下ろした斬の剣刃を、自分の持っていた棍棒で受け止める。勿論、魔物は魔刃を纏わせていたが、流石に神剣の刃は受け止めきれず、棍棒は真っ二つに切り裂かれた。
「はっ。」
振り下ろしている姿勢のまま、もう片方の突を魔物の醜く太った腹に突き刺す。
「突き刺した、」
俺は呟きながら、剣を回す。
「刃に纏う火に、」
その突の刃は炎を纏った。
「命ずると、」
炎は剣に凝縮され、刀身は紅く染まった。
「お前の使命、」
炎は剣から溢れ出る程、満ちた。
「爆ぜ散ることぞ。」
俺が言うと、炎は一気に弾けとんで、体内から魔物の体を引き裂き、燃やし、焦がした。
「ふぅ、、初めて使ったな。」
今したのは、こないだサキと一緒に、ノリで作ったスキルで、「魔歌」だ。このスキルは、歌に乗せて、魔法を行使することができる。歌の歌詞や音程に応じて、使う魔法は粗方決まる。例としては、普通の曲から、鼻歌のような物まで、歌ならなんでもよかった。しかし、はっきり言って、無詠唱で魔法の使える俺達からすると、必要のないスキルだ。しかし、「カッコいいじゃん」みたいなノリで作った結果だった。
「せっかくだしな、、、、、んっ。」
さっき倒した筈の魔物が、上体を起こした。上体を起こした俺を見る魔物はさっきの意思のある目でなく、既に意思の無い目だった。起こした体の所々は穴が空いてたり、焦げたりしているのに、なんでも無いかのように、動いている。
「何故だ。」
〔解析〕
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種族 グールドゴブリン(危険種)[死霊状態]
Lv68
HP2105
MP2300
力6200
知力0
速さ3120
体力 [上限無し]
魔力3300
運0
スキル
怪力Lv8
死者の行く末Lv1
パッシブスキル
狂暴状態Lv10
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「うっ。えげつな、、けど。」
「グゥ、、、」
「はっ。」
思考の無い魔物なんて、俺からしたら雑魚だった。一瞬で魔物の懐に入ると、首を飛ばす。
「思考の無い魔物は単純だな、」
死んで、腐り果てた魔物を一瞥すると、エリーの加勢に入った。