第3話 出現
「ん、」
今、坂下の森の中で大きな魔力が発生したが、俺は無視する。これも何故かというと、俺はもう神になっている、なので下界の出来事には出来るだけ干渉しないようにしている。
「ユウマ、今のは」
「エリー、ダメだ」
「何故だ」
「俺達はもう神だ。下界の出来事には出来るだけ干渉しない方がいい」
「しかし、」
「ダメだ、俺達は神だ」
「くっ、」
「理解してくれ、エリー」
「どうしたの、お兄ちゃん」
「少しな、」
「さっきの魔力のこと」
「ああ、」
「お兄ちゃん、行かないの」
「俺達はもう神だからな」
「けど、お兄ちゃん」
「ダメなんだよ、俺達は神だ。だから生命のサイクルには組み込まれていないんだ。だから下界の生物にはできるだけ干渉してはいけない」
「けど、私、、」
「取りあえず落ち着け、」
俺はそう言って二人に煎れてきた紅茶を差し出す。
「ありがとう、ユウマ」
「お兄ちゃん、、」
「俺達はもう神だ。それだけは意識しなければならない」
俺は神になる時、器の限界を超えて神になった。しかし二人を含め、俺のアイリスやサキ、セラは俺の神力にあてられて神に至っている。だから俺のように心まで神にはなりきれず、皆は人の心のままだった。これも時間と共に変わるのだがまだ時間が必要だった。
「この下には町がある。私はそれを見放すことごできない」
「お兄ちゃん、、私も。知り合いが死んじゃうかもしれないんだよ」
「しかし俺達はもう神なんだ。本来下界の人間と関わるのも良いことでは無い。それが為に下界の生物を殺すと俺達の身勝手になってしまうぞ」
俺も人の心か無くなったわけじゃ無い。俺も元々は人間なんだ。しかしもうこの世界の神だ、そんな俺が世界の法則を乱すわけにはいかない。
「じゃあ私だけでも行く。それで法則が乱れたと言うのなら私を罰してくれ」
「エリー、、、」
「お兄ちゃん、、」
ユイが悲しそうに呟いた時、
バタンッ
「ユウマさま、魔物が町を襲ってます。早く助けに行かないと」
「アイリスダメだ。俺達はもう神なんだぞ」
「ユウマさま、そんなぁ。人が、、、、」
「くっ、しかし俺達は、、」
すると、
バタンッ
「先生、ま、町が、、お父さんが、、、」
よく俺の家に遊びに来る子がそう叫びながら家に入ってきた。
「くっ、」
「先生、助けてよ。お、お父さんがぁ、、、」
「、、、、、」
俺はその時、あることを思い出した。
「ユウマさま、」
「くっ、、、行くぞ。魔物はどこだ」
「ユウマ、、」
「こっちだよ。はやく」
後ろで微笑む三人を見たが、俺は訪ねてきた子供の後を追い山を駆け下りた。