第8話
遅くなりました。区切りが良かったので少し短めです。
「さてドワーフの里長と話をしないとな」
「そうね準備しないと」
カチューシャが当然の様にそう返して来る。
「何を言ってるんだ?カチューシャは留守番だぞ」
「えっ?」
「当たり前じゃ無いか。何百年振りに訪れる里だぞ。どんな危険があるか分からないじゃないか」
「そんな事言ったら、アドルフが行ったらダメじゃないの」
「そう言う訳にはいかないんだよ。この訪問は非常に重要なんだ。これで里の未来が決まると言っても過言では無い。だから俺自身が行くんだ。分かってくれ」
「なんでよ。なんで私がついて行っちゃダメなのよ」
「何が何でも駄目なものは駄目なんだ!」
(カチューシャに何かあってからでは遅いんだ)
「この分からず屋め!もう知らないっ!」
そう言ってカチューシャが部屋から飛び出ていった
「おいっ待て!」
そんな俺の声は彼女に届かなかった。
「はぁ」
(またやってしまった。反抗されるとつい押さえつけてしまう。俺の悪い癖だ。にしてもこうなると1週間は口聞いてもらえないからな、カチューシャは。どうしようか)
そう考えているうちに闇夜が近づいてきた。
翌朝。寝不足気味な俺は準備へと取り掛かる。
(2、3日かかる予定の旅で必要になってくるのは干し肉などの食料を1.5kg位と包帯。それにアルコールとコップ、ハンモックでバックの中はいいかな。服装はいつものに旅用のマント後はブレスレットを持っていかないと。このブレスレットは失われた技術が使われており、それは他人から人と認識させる魔術が付与されている事だ。)
「家の前に"ドワーフの里に行っています"って貼り紙した事だし行くか」
(にしても1人だと静かだな)
そんな事を思いながらドワーフの里へと向けて歩き出した。
その頃カチューシャは前日にアドルフと喧嘩した事で泣き疲れていた。
「アドルフのバカ。なんでも連れて行ってくれないのよ。もう子供じゃないんだから」
そう言う彼女の目の辺りは赤く腫れぼったくなっていた。
「危険なのは分かってる。分かってるけど1人じゃ出来ないこともあるだろうから一緒に行くって言ったのに。もしもの事があったらどうするのよ」
そう言うとまた彼女の目から涙が溢れてきた。
「死なないでねアドルフ。私の愛しの人」
そう言うと彼女は一晩中泣いて疲れていたので意識を失うように寝てしまった。
視点を元に戻してその頃のアドルフ。
「どうしようか。ドワーフに何か頼んで贈り物したら機嫌なおしてくれるかな」
彼はどうやってカチューシャの機嫌をなおそうかと考えていた。
「いや、でも製品よりも手作りの方が良いか。あいつ前誕生日に手作りの物渡した時、狂った様に喜んでたな。よし。余裕があればドワーフの里で工房を借りて何か作るか。そうと決まれば話が早いドンドン行こう」
独り言が響く。
「しかしそろそろ夕方になるな。良い木の上を見つけないと夜が辛いな。おっと、早速良い木を見つけたぞ。さっさと登って準備してしまおう」
スルスルっと木に登る。
「にしてもエルフの体って便利だよな。木に登る時どこへ足を運べば良いかすぐわかるから。さてハンモックの準備も終わったし飯にするか。と言っても干し肉とキュウリみたいな奴しかないんだがな。これを魔法で出した水をコップに入れて飲むだけで終わりだ。旅だから当たり前か。明日さっさと歩いて里に着きたいな。じゃあ寝るか」
マントを被りハンモックで彼は眠った。うっかり寝過ごしたのはご愛嬌である。
初めてカチューシャの描写入れてみたのですがいかがでしたか?好評なら今後も入れていく予定です




