第7話
こっそり投稿。推敲なし。
あれから数日。部屋で自衛団の最終決定の書類をかたずけていると、カチューシャが扉を開け、
「これアドルフが頼んだ資源の調査報告書ね。後、これを頼んだエレーナさんがアドルフに見てもらいたい物があるんだって」
「分かった。ってエレーナさんに伝えておいてくれ」
彼女が言っているエレーナさんとは、(見た目が)妙齢の女性で探査魔法という変わった魔法が使える人物だ。
(エレーナさんが来るのか。俺は彼女が苦手なんだよなぁ。なんて言ったってあの...)
「どぉ?アドルフちゃん。元気にしてたぁ?」
(そう、この甲高い声と特徴的な話し方。悪い人では無いし、わざとやっている訳では無いというのも分かってる。だけどやっぱり)
「えぇ、一応は」
「一応って何よぉ〜。元気だったかそうじゃなかったかはっきりしなさいよぉ〜」
(悪気が無いのは分かってる。分かってはいるんだがこの話し方どうにかならないのか)
「それは良いですから、見せたいものって何ですか?」
「あぁ〜それね。それはね、この本なんだけどど〜。この本にねアドルフちゃんが1番見つけて欲しいって言ってた燃える水について書かれてたから見て欲しかったの」
「本当ですか?」
(言わずもがな燃える水とは石油の事である)
「う〜ん。かなり古い本ですね」
「そうみたいね。書庫で埃を被ってるくらい古いのは確実よ」
「はぁ」
しばらく黙り込み肝心の箇所を読む。
「成る程。書いてある事によるとここから北に向かって数日行くと黒い水が湧いていて、その水が燃えるらしい。と。ここから北に行ったらドワーフの里があるからすぐさま調査とはいかないな。今も湧いてるかどうかわからないし。分かりました。この本についてありがとうございます」
「良いのよそれくらい。じゃあ私はこれで失礼するわねアドルフちゃん」
そう言ってエレーナさんは帰っていった
(そういやなんでアドルフちゃんなんだろうか。それはまぁ置いといてこれでドワーフの里に行く用事がまた増えたな)
コンコン
誰かが戸を叩く。
「誰だ?」
(まぁあいつなんだろうけど)
「ア、アドルフそのね。エレーナさん変な事言ってなかった?」
カチューシャが顔を伏せモジモジしながら聞いてくる
「変な事?」
(石油の話しかしてないなぁ。もしかすると本を読んでた時になんか言っていたのか?)
「ちょっと分かんないな。何か重要な事だったのか?」
「いやっなんでも無いの」
彼女は手を紅くした顔の前でふる
「そうか。で何か用か?」
「御飯が出来たからどうかなって」
消え入るような声で言う
「そうだな。御飯にするか。ちなみに何を作ったんだ?」
「前に習ったオムレツを」
「そうかそうか。リベンジしたんだな。手ごたえはどうだ?」
「もうバッチリよ。私のオムレツ食べて腰を抜かしなさい」
「そんなにか?期待しておこう」
そんな会話をして食事が用意されている部屋へと向かう
「おぉ、良い匂いがするじゃん」
「でしょ〜。匂いだけじゃ無いと思うわ食べてみましょ」
「そうだな。それじゃあ、いただきます」
皿を寄せようとするとカチューシャが手で止めた
「どうした、カチューシャ?」
「えっとねやっぱりなんでも無い」
彼女はそう言って手を離す。
(不思議な奴だな)
オムレツをナイフで切りフォークで食べる
「うんちゃんと出来てるじゃん。ちょっと中が半熟なのがまた美味しいよ」
こう言って俺は彼女を褒める。
(こうでも言わないと彼女拗ねちゃうからな)
「そうだろうそうだろう」
彼女は満足そうに頷く。
(にしても本当にこいつは暇なのかな?俺の家によく来るけど。今はそれよりもドワーフの里との交渉について考えないとな)
「ちょっとアドルフ聞いてるの?」
彼女の怒った声で現実に引き戻される
「悪い考え事してた」
「里の事をよく考えてるけど自分の事もしっかり考えなさいよ」
「カチューシャの事を考えるのか?」
「バカ。何言ってるの?アドルフ自身の事よ...」
最後の言葉はアドルフに聞き取られる事なく消えて言った